自分のブログのアイコンにもしている温泉記号は、群馬県安中市磯部のある石碑に彫ってある自称「日本最古の温泉記号」です。ですが、これにも諸説あって「実はドイツなんじゃない?」って説もあります。
色々調べてみて、結論は「自分が信じたい説を信じたらいいのかな」ってなりました。今回はこの磯部温泉の話と記号の起源の話です。
石碑を信じるなら
これが2015年に実際に訪れてきた群馬の磯部公園にある、日本最古の温泉記号を謳っている石碑です。
万治4年、つまり西暦1661年、17世紀の、下手したら関ヶ原の合戦を経験した人がまだ生きているころにこの記号が考案されたことになります。
ちょっとした豆知識ですが、日本で初めての全国地図と言われる伊能忠敬が編纂した大日本沿海輿地全図は1821年に完成なので、それよりも100年以上も前から地図記号としての温泉記号があったことになります。
馬鹿正直に信用するなら部分的な地図はあちこちにあって、温泉地を書き記すときはこの湯気マークを使っていたんでしょう。
ドイツ起源説もある
そもそも、日本という国で地図を規格化しようなんて発想は明治になってから陸軍参謀本部が始めたことで、欧米の影響を多分に受けてからの話です。
そして、そのときに地図を作る時に大いに参考にした国があって、その国がドイツなのです。
ドイツではその頃から教会とか記念碑とかを地図記号にしていたのでそのうちのひとつである温泉マークを日本がパクってきたんじゃないかって説です
この説を信じるならドイツにも似たような温泉マークがあって、今の地図に使われてる温泉記号のルーツは19世紀のドイツになり、磯部の公園にまことしやかに飾られている温泉記号が日本最古なのは「嘘」ってことになってしまいます。
この記念碑への地元の人の反応は
私個人が、磯部温泉にわざわざこの日本最古の温泉記号がある公園に見に行ったとき、泊まる予定の旅館にまずチェックインして、「磯部公園を散歩してみたいんです」と受付で言ったら「特に珍しいものもないですけどねえ」と言われてしまって、少なくとも地元の人はそこまで誇りに思っていたり、観光地だとみなしていたりはしない様子でした。正直、そんなに見て面白いシロモノでもないですしね。
むしろ、着いて公園見たらすぐ行こうと思っていた日帰り温泉、「恵みの湯」がその日休館日だったことの方がショックでした。
砂塩風呂には予約がいるらしいですが、楽しみにしていただけに残念でした。
この日帰り温泉の看板にも「愛妻湯の町 磯部温泉郷」と書かれているように磯部には愛妻橋とか、やたら愛妻という地名が出てきます。なんにしてもあまり日本最古の地図記号がある町!アピールをしている感じではありませんでしたね。
どちらかというと童話「舌切り雀」の町として売り出したいようで、私が泊まった旅館の名前も「舌切雀のお宿」なんていいました。お土産物も舌切り雀にちなんだものばかりでした。
でもなんかこの石碑気に入った
このほどさように、せっかくあるのにあまり磯部では観光地の目玉扱いされていない温泉記号の石碑ですが、彫られた絵、温泉っていうより長く伸びた草みたいで、写真に写してひとつの絵として割と気に入ってしまったんです。
これって実は温泉の絵じゃなくて玉葱かなにかの絵だったら面白いなあって。だから自分はブログの、そしてTwitterもアイコンにも使ったままにしています。
そういえばなんで大小、いえ小大と書くべきか、温泉を二つ並べて描いてあるんでしょうね? やっぱり野菜か何かに見えます。
ここまでくると信じたい方を信じるしかない
磯部起源説をあえて否定してドイツ起源説を信じて調べていくと、温泉とドイツにはいくつか面白い話があるのです。
行ったときの話は、また記事を改めますが、草津温泉を再発見したドイツ人の医者エルヴィン・フォン・ベルツ氏は30年も日本にいて何度も草津に行ったり、伊香保にも別荘を持っていたりと群馬の温泉地としての発展に貢献した人です。草津にはこのドイツ人に因んだベルツ通りなんてものがあり、この人の名前の旅館に泊まった経験もあります。
さらに、大分の有名な由布院温泉は大正時代にドイツの温泉地バーデンバーデンに学んで発展(今でいう町興し)させていたり、逆に和風な温泉がドイツにあったり、色々と興味深い話が出てきました。
興味本位で調べ始めて、温泉記号の起源なんて今となってはもう「信じたいことがその人にとっての真実」ってレベルなのかなぁ、と結論付けました。
個人的見解を書き残しておけば、昔のドイツにも似た記号があって、当時の日本人が見て気に入って真似したという説の方が面白いと思います。
それくらいドイツ人も日本人も温泉が好きなのです。ヨーロッパで温泉というと映画「テルマエ・ロマエ」の影響で、ローマのイメージがあるかもですが、ドイツもなかなかに負けてません。
ブログ始めた当初は温泉と園芸の記事を交互に上げていく予定でしたが、早くも崩れました。最後まで読んでくださってありがとうございました。